里山の春を象徴するカタクリの花
北陸物語案内人の若井です。
北陸の平野部ではソメイヨシノが見ごろを迎え、今年は開花が遅れた梅の花との共演も見られ、賑やかな春が到来しています。
そんな中、少々通好みではありますが、根強いファンの多いのがカタクリの花。古語では「かたかご(堅香子)」とされ、越中国司として高岡に赴任した大伴家持の詠んだ歌が万葉集に収められています。
もののふの八十をとめらがくみまがふ寺井の上のかたかごの花
越中での春の訪れを喜び、水を汲む少女たちの賑やかさ、かたかごの花の美しさを詠んだのでしょうか。
この縁から、高岡市の市の花はカタクリとなっています。

「春の妖精」とも呼ばれるカタクリは、北陸の里山などで見られ、なかでも林床一面を薄紫色の花でおおい尽くす群生地は見事です。
花の見ごろは標高などによって大きく異なり、ソメイヨシノやヤマザクラと同様、4月中なら北陸のどこかで花が見られるでしょう。
写真は、石川県金沢市の郊外・平栗地区にあるカタクリ群生地です。例年の見頃は平野部のソメイヨシノと同じくらいですが、今年は雪が多かったせいか、開花が遅れていて、4月8日に訪れた時は、ようやく花が咲き始めたという状況で、見頃はもう少し先のようです。

2025.04.09