今年はひと際華やかに咲いて欲しい! 美しい桜に秘められた秘話 〜高岡古城公園編〜
北陸物語案内人の若井です。
富山県高岡市にある高岡古城公園といえば、日本さくら名所100選にも選ばれ、北陸を代表するお花見スポット。城跡を彩る桜は約1,800本で、約1,400本のソメイヨシノをはじめ、コシノヒガンなど18種類もの桜が分布しています。
実はこのコシノヒガンがちょっとややこしいので、ここで整理したいと思います。
今や全国でも栽培されているコシノヒガンは、南砺市城端の由来のもの。また、江戸時代に高岡城に持ち込まれたコシノヒガンは、花弁が丸くうねりが目立つもので、高岡独自のものと分かり、前者を「コシノヒガン(普及型)」、後者を「タカオカコシノヒガン」と呼び分けています。タカオカコシノヒガンがもたらされたのは、江戸時代に砺波の十村役が山中から桜の木を高岡城下の馬場に移植したことが始まりといわれています。それが昭和の時代に高岡古城公園の小竹藪に移植されました。
そもそも、なんで馬場に、しかもコシノヒガンを江戸時代に移植したのでしょうか。
──山桜(ヤマザクラ)ではなく、うば桜(エドヒガン)を吟味して献上する旨の当時の記録が残り、うば桜よりも華やかなタカオカコシノヒガンを運び込んだのではないか。その目的は、馬場を花見の名所にすることで、幕府に対して翻意がないこと、つまりは加賀藩特有の文化政策の一環だったのではないか。──そのような推察もあるようです。
高岡古城公園の桜の植生をひもとくと、加賀藩の歴史につながるかも知れず、また2009年にも新種の「コシノカモザクラ」が発見されるなど、この名所の桜は、美しいだけじゃない魅力を秘めています。