あらためて、加賀温泉郷をご紹介します!
北陸物語案内人の若井です。
小芝風花さん主演の映画『レディ加賀』が公開され、3月16日には待望の北陸新幹線がやってくる、今注目の加賀温泉。
でも、意外と知られていないところもあるかもしれませんので、ここでちょっとおさらいです。
実は加賀温泉という名前の温泉はなく、正確には加賀温泉郷となり、ここには片山津温泉、山代温泉、山中温泉の3つがあります(さらに小松市の粟津温泉を加えて、「加賀四湯」とも呼ばれます)。
3つの温泉を簡単に紹介しましょう。
片山津温泉は、柴山潟という湖が源泉で、湖畔には旅館が立ち並びます。江戸時代に大聖寺藩の藩主が発見しましたが、温泉を利用できるようになったのは明治時代から。泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物泉(高張性中性高温泉)で、なめるとしょっぱく、湯冷めしにくいのが特徴。湖を一望する美術館のような総湯(温泉共同浴場)が人気で、設計したのは、ニューヨーク近代美術館新館や東京国立博物館法隆寺宝物館、金沢の鈴木大拙館なども手がけた谷口吉生氏です。
山代温泉は、伝説では行基が725年に開湯したといい、歴史があります。戦国時代には明智光秀が傷を癒すために訪れたといわれ、陶芸家、美食家として名を残す魯山人もしばし滞在し、ここで陶芸や美食の造詣を深めたそうです。山代温泉のシンボル的な存在が、明治時代の総湯を復元した「古総湯」で、建物だけでなく、入浴方法も当時の作法に則っている珍しいもの。2階の広間から眺める温泉街も素敵で、ここだけ時間が止まったような錯覚を覚えます。
山中温泉も行基が開湯したと伝わる歴史ある温泉。温泉街に並行するように鶴仙渓と呼ぶ渓流が流れ、そんな風光明媚なロケーションが人気。鶴仙渓には春から秋には名物の「川床」がオープンし、地元出身で和の鉄人・道場六三郎氏が監修した甘味を味わえます。おくのほそ道で立ち寄った松尾芭蕉がこの温泉をいたく気に入り、異例の長逗留をしたことでも知られます。鶴仙渓の景観は松尾芭蕉も絶賛したとか。総湯(菊の湯)では、温泉たまご作りもできます。
一口に加賀温泉郷と言っても、その趣はかなり違います。
すごくざっくりと申せば、開放感を味わう片山津、レトロムードが楽しめる山代、風流な佇まいの山中という感じでしょうか。
北陸新幹線を使えば、金沢駅からわずか14分で加賀温泉駅に到着します。それぞれの温泉にはそこからバスに乗り換える必要はありますが、ホント近くなります!
(写真は山中温泉の鶴仙渓に架かるこおろぎ橋)