今年はひと際華やかに咲いて欲しい!北陸の桜秘話 〜足羽川桜並木編〜
北陸物語案内人の若井です。
暦の上では春といっても、まだまだ寒い日が続き、ライフラインが完全に復旧していない能登では、大変な思いをされている方が多いと思います。
今年はいつも以上に寒さがこたえる北陸地方ではありますが、それでも必ず春はやってきます。そんな春へと思いを寄せて、今年も北陸の桜を紹介していきます。桜が咲く頃のポカポカ陽気を少しでも感じていただけたら何よりです。
福井市の中心部を流れる足羽川の堤防上には、長さ約2.2km、約600本という壮大な桜並木が続きます。桜のトンネルとなった歩道の両側には、市内の中学生らが詠んだ「独楽吟」をあしらったぼんぼりが吊り下げられ、その下をたくさんの市民が、ようやく訪れた春を謳歌して、晴れやかな表情で歩いていきます。
夜はライトアップもされ、光り輝く桜の帯が延々と続く姿は感動的。キッチンカーや桜床も登場し、花を楽しむ市民で賑わいます。
福井市は昭和20年代に空襲と震災、さらに水害という三重苦に見舞われました。そこから立ちあがろうと、復興のシンボルとしてたくさんの桜の苗木が植えられました。
2004年の福井豪雨により、堤防を強化する必要が出てきて、200本ほどの桜は植え替えられましたが、その桜も大きく成長しています。残りの約400本は、植樹されてから70年以上が経ち(一説ではソメイヨシノの寿命は60年とも言われている)、樹勢が衰えつつあるものもありましたが、市民有志で結成した「ふくい桜守の会」や樹木医の手厚い保護により、元気を取り戻しているそうです。
桜の成長とともに、福井の街は発展してきた、そんな歴史があるから、この桜並木は市民にとっては特別な存在でもあります。また、その物語を知れば、この桜並木がとても愛おしく感じられるようになりますね。
この桜並木は北陸新幹線の車窓からも眺められるそうですが、福井駅から歩いて10分ちょっとという駅近にありますので、桜のシーズンならぜひ、福井駅で降り、足を運んでいただけるといいなと思います。
足羽川桜並木に込められた想いが、北陸中、そして日本中に届くといいですね。
(写真は2023年に撮影しました)