北陸物語facebook ~今日は何の日、〇〇の日【12月16日編】~
北陸物語案内人の若井です。
今日12月16日は、「紙の記念日」です。
その由来は、新1万円札の肖像でも注目の渋沢栄一が設立した抄紙(しょうし)会社が正式開業した日にちなんでいます。これにより、大量生産ができる洋紙の国産化が実現できました。
洋紙が普及する前、日本に古くからあったのが和紙。その風合いや耐久性など、洋紙にはない魅力があります。
品質、種類、量とも日本トップクラスを誇るのが越前和紙。福井県越前市今立の産地を訪ねると、趣のある紙漉き工場が軒を連ね、紙の神様を祭った神社が鎮座しています。
日本最初の藩札とされるのが越前和紙を使った福井藩札で、明治新政府が作った日本初の全国通用紙幣「太政官札(だいじょうかんさつ)」にも越前和紙が採用されていました。その後、紙幣は洋紙にとって変わりますが、越前和紙の紙漉き職人が技術指導を行ったり、偽札防止のための透かし技法を開発したりと、紙幣の進化には越前和紙の技術が活かされています。
洋紙の生産量は2000年頃をピークに減少の一途をたどっています。世の中のペーパーレス化が加速していて、考えれば今もこうやって紙を使わずに、みなさんに北陸の魅力をお伝えできているわけですから、致し方ありません。
一方の和紙はどうなんでしょうか? 実は越前和紙は株券に使われる局紙のほとんどを製造していたため、株券の電子化により、大打撃を受けました。しかし、豊富な種類の和紙を製造できる産地の強みを生かして、新たな販路の開拓も積極的に行っています。近年では、その丈夫さが国内だけでなく海外からも高い評価を得ています。
ちなみに、和紙にも旬があるのをご存知でしょうか?
「寒漉き」と言って、紙漉きに使われる粘液は寒い方がもちがよく、より品質の良い紙ができるそうです。かじかむ寒さの中で和紙を漉く職人さんには頭が下がります。
そんな職人技を間近で見学したり、紙漉き体験ができたり、越前和紙を使ったさまざまなものを購入できるショップなどがあるのが「越前和紙の里」。
和紙に興味を持っていただけましたら、ぜひお訪ねになってみてはいかがでしょうか。
https://www.echizenwashi.jp (写真提供:福井県観光連盟)