北陸物語facebook ~今日は何の日、〇〇の日【9月25日編】~
北陸物語案内人の若井です。
今日9月25日は2008年、27年ぶりに日本の空に野生のトキが帰ってきた日です。
トキの学名は「ニッポニア・ニッポン」で、全長が70〜80センチ、羽を広げると「朱鷺色」と呼ばれる濃いピンク色をしているのが特徴で、古くから日本を象徴する鳥として扱われてきました。
1981年に国内最後の野生トキ5羽が人工繁殖のために捕獲され、日本の空からはトキがいなくなってしまいました。その後、中国から贈られたつがいのトキの人工ふ化に成功し、この年に佐渡で10羽のトキが放たれたのでした。
かつては北陸地方にもトキが普通に生息していました。北陸とトキのゆかりをいくつか紹介しましょう。
本州最後のトキが生息していたのが能登半島で、1970年に石川県穴水町で捕獲され、新潟県の佐渡トキ保護センターへ移送されました。このトキを見守ってきた羽咋市の村本義雄さんという方が、中国のトキ保護のための支援活動をずっと続けています。村本さんは2008年の放鳥に招かれて、手を震わせながら、木箱に入ったトキを放ったそうです。
トキの飼育は1カ所で行うと鳥インフルエンザなどによる絶滅のリスクがあるため、現在、国内5カ所で分散飼育が行われています。その一つがいしかわ動物園にあり、「トキ里山館」では飼育中のトキを公開。全国に3カ所しかない公開施設で、運が良ければ朱鷺色の羽を広げてゲージの中を飛び回る姿を見ることもできます。
先日、9月17日には25回目となるトキの放鳥が佐渡で行われて、5羽のトキが野生へと帰って行きました。佐渡には現在470羽以上が野生下で生息しているそうで、佐渡とは目と鼻の先にある北陸にもしばしばやってきます。かつてトキが絶滅してしまった原因は自然環境の悪化でした。トキが住めないような環境は決して人間にもいいことはありません。トキは持続可能な健全な自然環境のシンボルなのです。トキが住めるような環境を取り戻そうとする取り組みは北陸でも盛んになってきました。北陸の空を当たり前のようにトキが飛び回る日はそう遠くないかもしれません。