北陸物語facebok ~先人たちの知恵を生かした香り高いそばを~

北陸物語案内人の若井です。

福井県勝山市では7月中旬から数量限定で、市内の8つの店舗にて雪室(ゆきむろ)で保存されたそばを使った「雪室そば」を食べることができます。この時期、どうしてもそばの風味が落ちてしまう中、低温高湿の雪室で保存されたそばは、風味豊かで、まるで新そばのような味わいが楽しめます。ついでに雪に包まれて寝かされたそばを想像すると、ちょっとだけ涼しい気分にもなったりします。

越前そば処勝食のおろしそば(大盛)。値段は通常のものと同じです

雪室(氷室)とは、まだ冷蔵庫などなかった時代、雪や氷を室に詰めて、天然の貯蔵庫として使っていたもの。金沢の湯涌温泉にある氷室がよく知られていますが、かつては北陸各地のどこにでもあったそうです。先人たちが自然を巧みに利用してきた雪室ですが、実用としては過去のものと思われがち。しかし昨今、その存在が再注目されているのです。冷蔵庫と違って同じ低温でも高湿度で保存ができるため、穀物や野菜、さらには日本酒などの長期保存に優れています。冷蔵庫とは違って、電気も使わず、最近では雪室の冷気を冷房に使っているところまであります。冬のうんざりするような豪雪が、夏においしいそばを食べさせてくれるなんて、ちょっといい話ですよね。勝山の雪室そばは例年では提供開始から2〜3週間で限定数に達するそうなので、まもなく終了となりますが、ぜひ「夏に風味豊かなソバを食べたくなったら勝山市へ!」と覚えておいてくださいね!

MENU