北陸物語facebook ~持続可能な知恵が詰まった、次世代に継ぎたい北陸のモノ・コト(その6)~
北陸物語案内人の若井です。
SDGsでも注目の「持続可能」をキーワードに、北陸の魅力を見つめ直す旅案内、その第6弾です。
今回紹介するのは、「福井のそば」です。
福井のそばといえば「おろしそば」ですね。独特の歯応えに大根おろしの辛味がマッチして、ほんとおいしい! おろしそば人気は不動で、持続も問題ないと思われますが、その福井のおいしいそばを支えている「そば」について、今回は少し掘り下げてみたいと思います。
福井のそばがおいしい理由として、水の良さや職人の技術の高さ、石臼で挽いたそば粉を使っている店が多いなどなど、挙げ出すとキリがありません。しかし、そんな中で最近注目されるようになったのが、原料のそばの種類です。現在、国産そば粉は多くが栽培しやすく食べてもおいしい品種に改良されたものが占めています。産地としては圧倒的に多いのが北海道で、茨城や長野が続きます。
余談ですが品種が限られること、そして産地も集中することは、異常気象などが起こった際に壊滅的な被害を受ける可能性があります。さまざまな品種をさまざまな地域で栽培していくことは、リスク回避のためにも重要。これはお米を見るとよく分かりますね。生物多様性って野生生物だけと思われがちですが、実は農作物も同じ。
福井では、昔からその土地土地で栽培され続けてきた「在来種」が作られています。在来種って、最近では加賀野菜など伝統野菜で知られるようになりましたが、そばの在来種の種類がとても多いのが福井県の特徴で、「福井在来」「大野在来」「丸岡在来」など、わかっているだけでも20系統以上あるみたいです。他とは一味違うそばが食べられるのは、この在来種によるところが大きいと言われ、ここまでたくさんの在来種が受け継がれているというのは奇跡的といっても過言ではありません。
次の世代にもおいしい福井のそばを食べさせてあげたい! そう考えると、おいしい水とそば打ちの技術はもちろん、地域伝来の在来種の栽培を絶やさないことも重要であり、そしてそもそもそばがよく育つ環境を維持していくなどなど、やらないといけないことがいっぱいあります。これはまさしく、SDGsの目標達成にリンクする話。
「おいしいそばを守るために自分はなにができるのか?」
そうやって考えていけば、おのずとSDGsにも貢献できるのです。
それにしても、福井のそばを掘り下げると「たかがそば、されどそば」ということを痛感します。
(写真提供:福井県観光連盟)