北陸物語facebook ~持続可能な知恵が詰まった、次世代に継ぎたい北陸のモノ・コト(その2)~
北陸物語案内人の若井です。
持続可能な開発目標(SDGs)で注目の持続可能をキーワードに、北陸の魅力を見つめ直す企画、その第2弾です。
今回取り上げるのは漆器。漆器の産地は全国にあり、北陸だと、高岡、輪島、金沢、山中、越前、若狭がよく知られています。
なかでも、山中漆器と越前漆器は、福島の会津漆器と和歌山の紀州漆器と並び、日本四大漆器産地に数えられています。他にも塗り箸のシェアトップの若狭、高級漆器の代名詞・輪島、雅やかな蒔絵技法で知られる金沢、螺鈿細工を得意とする高岡など、日本の漆器を代表する産地が北陸にあります。
では、なんで北陸では古くから漆器作りが盛んだったのでしょうか? いろいろな理由がありますが、1番は湿気です。漆は一定の湿度がないと乾かないため、「弁当忘れても傘忘れるな」と言われる、北陸特有の湿度の高い気候が漆器作りに最適なのです。
ちなみに、福井県若狭町にある鳥浜貝塚からは、縄文時代初期の世界最古の漆の木片が出土していて、縄文時代前期の赤漆塗り櫛も出土しています。北陸の漆器は世界最古級の歴史があるのかもしれませんね。
そんな長い歴史のある漆器の良さが今見直されています。軽いし丈夫だし、熱い物を入れても外側が熱くて持てないなんてことにならない優れた機能性もあります。そして、本物の漆を使っている漆器は全てが天然由来の素材からできているので、口に入れても安心で、しかも、環境にもやさしいのです。修理も可能で長く使えるという点でもグッド。小さいうちから本物に触れさせることで、情操教育にもいいという話も聞きます。
このようにいいことづくめの漆器ですが、扱いが難しいのではないかと思っていたり、食洗機や電子レンジで使えないのがネックだと感じていたりする方も、意外と多いのではないでしょうか。
例えば、業務用漆器のシェアが日本一の越前漆器では、給食で使う丈夫な漆器や、食洗機でも洗えて、電子レンジでチンもできるというものも開発されています。
長い歴史がある漆器は次世代へ引き継がれていけるように、実は着実に進化をしているんですね。普段使いの食器として、漆器を見直してみてはいかがでしょうか? 私たちが買って使うことが、産地の大きな力になります。
(写真提供:福井県観光連盟)