北陸物語facebook ~持続可能な知恵が詰まった、次世代に継ぎたい北陸のモノ・コト(その1)~

北陸物語案内人の若井です。

「持続可能」という言葉をよく目にするようになりました。
国連で全会一致で採択された持続可能な開発目標(SDGs)によって、持続可能かどうかという価値基準が重要視されるようになったからですね。

かつて、新しいものをどんどん取り入れて、古いものはその価値をきちんと顧みず、じゃんじゃん切り捨てていった時代が続きました。けれど何百年と続いてきたものには、ちゃんと続いてきた理由があるんです。
大都会では多くが絶滅してしまった、そんな持続可能な知恵が詰まった古いモノ・コトは、今、その価値が見直されています。

ここ北陸には細々ながら残っているものも多くあります。
そんな「古き良き」、あるいは「温故知新」な北陸の風景を訪ねる旅を、ときどき紹介して行こうと思っています。

ただ、眺めて、「わー、すごい!」で終わらせず、ぜひ、その背景も意識して旅してみてください。
今はすぐに旅には出にくいかもしれませんが、この旅は机上や空想でも十分楽しめると思います。

えー、ちょっと堅い前置きが長くなりましたが、今回紹介するのは「棚田」です。階段上に田んぼが続くアレですね。高度経済成長期前には全国各地の中山間地ではごく普通にみられましたが、今でも耕作されている田んぼは年々少なくなっています。

北陸地方では、富山県富山市三乗、氷見市長坂、石川県輪島市白米の千枚田、志賀町大笹波水田、津幡町奥山田、福井県高浜町日引(写真)、越前町梨ヶ平地区千枚田が「日本の棚田百選」に選定されていて、代表的なものと言えます。他にも中山間地に行けば、棚田は普通に目にすることができます(多くは圃場整備を行い、写真のような棚田とは少し違います)。

そして今、この棚田の多面的機能が注目されています。多面的期な機能って何?って思いますよね。
棚田は美味い米を育むだけでなく、見た通り美しい景観を保全することや、洪水や土砂災害を防いだり、生物多様性を保全したり、最近では農業や自然と触れあえる教育の場としてなど、さまざまな機能があることから、「実は棚田ってすごいんだ!」って思われるようになってきたんです。
棚田を維持してきた暮らしや文化を含め、長い間持続してきたものからは、この先の持続可能な社会の在り方についても教えてくれることが多いんです。
そうは言っても、棚田がどんどん耕作放棄をされているのが実際。
棚田で採れたお米を買ったり、棚田のオーナー制度やクラウドファンディングに参加したり、ボランティアで手伝ったりと、棚田を未来へと引き継ぎたいと思う人は、できる範囲で棚田と関係を持っていくことが求められています。

まあ、堅い話は抜きに、まずはお近くの棚田に出かけてみてはいかがでしょうか。

(写真提供=福井県観光連盟)

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