何度行っても、あたらしい。各県人気のミュージアムを再訪してみた。
■ 富山県美術館
世界一美しいスタバとして知られる富岩運河環水公園そばに佇む、「富山県美術館」。
2017年に開館、2024年には通算来館者数500万人を突破した人気スポットです。
建物の3方向が大きなガラスウォールになっていて、晴れた日には立山連峰を一望。いつ訪れても気持ちがゆったりできます。

館内では最先端のアート&デザインの企画展をはじめ、県立近代美術館から引き継いだピカソやミロ、シャガール、ポロックなどの20世紀コレクションが充実。その見応えは北陸でも一番だと個人的に思います。
ポスターや椅子を中心としたデザインコレクションも国内有数を誇り、建築家のチェア好きな私にはたまらない空間。ポスターは3階タッチパネルコーナーにて、所蔵作品約3000点の閲覧が可能。デザイン好きな人は満足できるはず。
2階にある無料の屋外広場では、キュートな白いクマたちがお出迎え。
三沢厚彦さんの「ANIMALS」という彫刻作品で、屋内に1匹、屋外広場に3匹の白いクマが展示され、圧倒的な存在感を放っています。一匹は人間の3倍という大迫力サイズ。3匹のクマたち、よく見ると左右の瞳の色が違います。右目の緑は「富山の山々の緑」、左目の青は「海や空の青と富山の美しい自然」を表しているそう。なんとも素敵なコンセプトです。


屋上に広がるのは、親子連れで楽しめる「オノマトペの屋上」。
国内を代表するグラフィックデザイナー佐藤卓さんによるもので、「ふわふわ」「うとうと」「ひそひそ」「ぐるぐる」「ぷりぷり」などのオノマトペ(擬音語・擬態語)をテーマにした楽しい遊具が並んでいます。床もフカフカしていて、小さなキッズも安心して遊べます。
ここでも立山連峰を見渡して、ほっと大きく深呼吸。空とつながる最先端のアート空間で、凝り固まったココロと身体がほぐされていくのを感じました。



■ 金沢21世紀美術館
次は伝統と最先端が溶け合うまち、金沢の顔ともいえる「金沢21世紀美術館」へ。
2024年に20周年を迎え、今も年間200万人以上が訪れる、北陸を代表するアートスポットです。
円形ガラスの外壁の中に、大小の白いキューブが配されたユニークな外観が印象的な建物。有料ゾーンでは企画展や常設展のほか、人気のレアンドロ・エルリッヒ作「スイミング・プール」など、観る人でいつも賑わいます。
無料ゾーンも充実。
屋外にはインスタ映えするオラファー・エリアソンの「カラー・アクティヴィティ・ハウス」や、耳を澄ましたくなる不思議なラッパなど、子どもも大人も楽しめるアートがいっぱい。先述のスイミング・プールも無料ゾーンから観ることができます。


さて、私のとっておきの楽しみ方をご紹介。
館内の無料ゾーンにあるジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」は、日中も空が切り取られた天井の眺めが美しいですが、実はマジックアワーがあります。日没の15分から30分の薄暮の頃、切り取られた空の青が外で見る以上に濃くなるように照明で工夫されており、写真に撮るとさらにきれいな青色に。タレルの「光のマジック」に感動してしまうこと必至です。


もう一つは屋外の芝生にある銀色のラッパ。
フロリアン・クラールの「アリーナのためのクランクフェルト・ ナンバー3」という作品で、地中にある管がペアでつながっています。
各ラッパがどうつながっているか、考えをめぐらせたことのある人も多いのでは。

今回、特別にヒントをお教えします。
美術館をぐるりと囲むようにラッパが配置されていますが、ペアのラッパは必ず互いが見える場所にあります。しかし一組だけとても距離が離れていて、その答えは「外と中が一体化する」という美術館のコンセプトにヒントが。
訪れるたびに、観る人自身もひらめきや新しいアイデアをめぐらせる。そんな楽しみ方ができるのがこの美術館です。

■ 福井県立恐竜博物館
世界三大恐竜博物館のひとつ、「福井県立恐竜博物館」。2023年にリニューアルし、さらにパワーアップ。通算来館数が1300万人(2024年)を超える、話題の博物館に行ってきました。
リニューアルでは大きなタマゴの形をした本館ドームの右手に、銀色の新館ドームが誕生。この新館にまず入ってみました。

1階から3階までエスカレータでつながる広大な吹き抜け空間にいきなり圧倒されます。
福井で発見された恐竜のモニュメントが並ぶ「恐竜の塔」をはじめ、コの字に囲まれた3面×高さ9m×横16mの巨大特設スクリーンで実物大の恐竜が動き回る「3面ダイノシアター」が広がり、一瞬で白亜紀に迷い込んでしまった感覚。うれしいのはこれら展示空間を、手元のスマホで音声ガイドを聴きながら回れること。大人の知的好奇心をじっくりと満たしてくれます。



次にリニューアルした本館へ。
骨格標本の展示数が増え、充実度がマシマシ。展示された化石の9割が実物であることにも感動しました。

今回、同博物館には展示以外にも大切な仕事があるということを知りました。
それは福井で発掘された恐竜の化石の収集と分析。館内では化石クリーニングの様子を見学できるほか、来館者自身が化石クリーニングや発掘体験を楽しめるんです。子どもから大人まで恐竜好きを夢中にさせる理由がここにあります。
そもそも、同県勝山市に恐竜博物館が誕生した理由は、いまもここで恐竜の化石が次々と見つかっているから。国内で学名がつく恐竜11種のうち、6種が福井県内で発見されたもの。いまも進化し続けている博物館なのです。
小さなキッズ連れなら、すぐそばにある「かつやま恐竜の森」や「かつやまディノパーク」もおすすめ。
全長約600mのウォークスルーで味わう冒険型アトラクションが広がり、動いて鳴き声を上げる実物大の恐竜ロボット87頭は迫力がいっぱい。恐竜を身近に感じ、彼らがいた時代に思いを馳せる。そんな時間がここにあります。
富山県美術館 富山県富山市木場町3-20
金沢21世紀美術館 石川県金沢市広坂1-2-1
福井県立恐竜博物館 福井県勝山市村岡町寺尾51-11かつやま恐竜の森内

松岡佐和子
石川県金沢在住
富山県出身。大学時代を大阪で過ごし、Uターンして広告のコピーライターに。ことばで北陸3県の魅力を伝える仕事をしています。国内外問わず、旅が好き。小学生の息子と各地をめぐることを目標に日々コピーを書いています。