北陸物語facebook ~里帰りした日米友好の桜に思う春~

北陸物語案内人の若井です。

桜の花が咲くとウキウキしてきます。いろいろ大変なことがあっても、また春がやって来て、桜が咲く……。こうして桜の花は多くの人の心を動かしてきました。

桜の花を見て心を踊らせるのは日本人だけではなく、今や世界中でも人気。今年はできませんが、日本の桜を見たくて、わざわざ訪日する外国人もたくさんいます。

さて、この日本の桜の美しさを世界に広めたのは、アメリカのワシントンにあるポトマック公園の桜の影響も大きいでしょう。日米友好のシンボルとなったこの桜は学校の教科書にも掲載されていて、ご存知の方も多いはず。

この桜の植樹は100年以上前に始まりましたが、そのキーマンとなった一人が高岡生まれで金沢育ちの高峰譲吉博士でした。アドレナリンを発見したことで知られる博士は、当時ニューヨークに住んでいて、日に日に反日感情が高まっていくのを懸念していました。その矢先に桜の植樹の話を聞き、当時の東京市長・尾崎行雄と一緒になり、日本の桜の苗木をたくさん贈ったのでした。

その後も植樹が続けられ、今では約8000本もの桜が植えられ、春には「全米桜祭り」が開催されています。

一方で、高峰譲吉博士らが贈った桜の子孫は2004年に里帰りをし、石川県や富山県を皮切りに、全国各地に植樹されました。金沢市内では金沢城公園や金沢21世紀美術館をはじめ、数カ所に植樹されていて、写真はその1本で、大乗寺丘陵公園に植えられているものです(大乗寺丘陵公園では、金沢平野を一望しながら花見が楽しめます《もう一枚の写真》)。コロナ禍のアメリカでアジア系住民への差別が顕著化しているというニュースに、悲しい気持ちにさせられましたが、先人たちが桜で親交を深めていた話を思い返すと勇気も出てきます。今年は花見宴会が自粛されている分、しみじみと桜への思いを深めたくなります。

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