北陸物語facebook ~北陸の温泉③ 山代温泉~

ライトアップされた古総湯

北陸物語案内人の若井です。

朝晩が寒く感じられるようになってきた今日このごろ、ますます恋しくなるのが温泉。

北陸の温泉を紹介するシリーズ。今回は石川県の山代温泉です。

ひと昔前まで、「関西の奥座敷」などと称され、多くの団体客で賑わっていた温泉地ですが、そのさらに前は、総湯と呼ぶ共同浴場の周りに温泉宿が建ち並ぶ湯治場でした。

総湯を中心としたその町並みは「湯の曲輪(ゆのがわ)」と呼びます。

開湯から1300年という長い歴史があるこの温泉には、NHK大河ドラマで注目の明智光秀も、永禄8年(1565)に傷を癒やしに10日間の湯治に訪れているとか。永禄8年といえば、おそらく光秀が福井県坂井市の称念寺門前で過ごしていた頃で、当時はまだ芦原温泉は発見されてなかったので、近場の温泉と言ったら山代温泉だったのかもしれません。

団体のどんちゃん騒ぎ旅行から、ふたたびゆったりと温泉を楽しむ旅行が好まれるようになり、山代温泉は、明治時代の総湯を復元して、湯の曲輪の再整備を行いました。

復元された総湯は「古総湯」と名づけられ、建物の内外装はもちろん、入浴スタイルも当時のままに、古き良き温泉文化を体感することができます。2階は休憩所になっていて、ここから眺める湯の曲輪の眺めは旅情を掻き立ててくれます。

ステンドグラスと九谷焼のタイルが美しい古総湯の内観

実は山代温泉には、隣接してもう一つの「総湯」があり、こちらは地域の人達に愛されるふだん着の温泉です。

与謝野鉄幹や与謝野晶子、泉鏡花など、多くの文人墨客を虜にしてきた山代温泉は、陶芸家や美食家として知られる北大路魯山人がその才能を開花させた場所としても知られています。

ちょっと文人気分に浸って、深まり行く秋をゆっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。

湯の曲輪の一角にある「はづちを楽堂」

いよいよ秋の旅行シーズンが到来。新型コロナウィルス感染症防止に対しては、旅行される皆さんにもいろいろご不便をおかけすることもありますが、しっかりと対策をとって、素敵な旅をお楽しみください。

写真提供:石川県観光連盟

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