北陸物語

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富山県朝日町の舟川べりには、1957年に舟川の河川改修を機に植えたソメイヨシノを、住民が大切に守り育てた桜並木が続く。
残雪の山並みと色鮮やかなチューリップ、そして満開の桜とが重なる色鮮やかな花回廊が見られる(4月中旬)

北陸 春の花回廊 自然も人も最も輝く季節

春は生命の営みが始まる季節。北陸の冬を越した生きものが、一斉に動き始める季節でもあります。山々からの雪解け水は、北陸に住む生きとし生けるすべての生命を潤し、その情景は人々の心もまた満たして、遺伝子に深く刻み込みながら、「北陸人らしさ」を育んでいきます。

Part-1 熱い思いが込められた桜

戦災と震災からの復興のシンボルである足羽川あすわがわの桜並木


植樹して間もない1953年頃の桜並木

第2次世界大戦中の戦災、1948(昭和23)年の福井地震と度重なる災禍にめげず、奇跡的な復興を遂げた福井市は市民憲章を「不死鳥のねがい」と名付けました。その復興のシンボルとして植えられたのが足羽川の桜です。

福井市中心部を流れる足羽川沿いに続く桜並木は満開の時には見上げると空が見えないほどで、「日本さくら名所100選」(財団法人日本さくらの会選定)にも選ばれています。

ところが2004(平成16)年、福井豪雨が発生し、足羽川などで甚大な被害が出ます。これをきっかけとして足羽川の堤防を強化する工事が始まり、桜の古木を一部、伐採することになりました。その際、福井の人々にとって特別な意味を持つこの桜をなんとか再利用できないかと発案されたのが、箸作りでした。

伐採された桜の木は福井県の伝統工芸である若狭塗わかさぬりを施して「さくらのおはし」として生まれ変わりました。そして、その販売収益が新たに植えられる桜の植樹や維持管理に充てられることが共感を得て、またたく間に完売しました。多くの人々の思いが込められた桜並木はまさに不死鳥のように、新たな歴史を刻み始めています。


約2.2km続く足羽川桜並木


瞬く間に完売した「さくらのおはし」

太平洋と日本海を桜でつなぐ夢の結実


国鉄バス(当時)の車掌で、名古屋から金沢までの沿線266kmに桜の苗木を植えた佐藤良二さん

1973年4月、兼六園に1,500本目の桜を植える

御母衣みぼろダム建設のために湖底に沈む村から移植され、いまも花を咲かせる推定樹齢450年の2本のエドヒガン。「荘川桜しょうかわざくら」と名付けられたこの桜に魅了されたバスの車掌、佐藤良二さんは太平洋と日本海を桜の道で結ぼうと私財を投じて自らが勤務する名古屋~金沢のバス路線の沿道に苗木を植え始めます。30万本にものぼる「さくら道」植樹計画の第一歩を踏み出したのは1966(昭和41)年のことでした。

以来、佐藤さんは休日を苗木の手入れや植樹に費やし、約2,000本の苗木を植えましたが、1977年(昭和52)年、病魔に冒され、47歳の若さで帰らぬ人となってしまいます。

「この地球の上に、天の川のような美しい花の星座を作りたい。花を見る心が一つになって、人々が仲良く暮らせるように」という佐藤さんの日記の一文は国語の教科書にも載せられ、多くの人に感動を与えました。

佐藤さんは7年越しの努力で荘川桜の実生みしょうから育てることに成功し、1芽ずつに名前を付けて大切に育てました。その数少ない貴重な桜の一つ、「荘川七郎桜」が、金沢からさらに北上し、輪島市の輪島漆芸しつげい美術館の前で毎年、花を咲かせています。佐藤さんの遺志は多くの人に受け継がれ、「さくら道」は連綿と続いています。


輪島市の小学校長だった平松幹雄さんが佐藤さんと出会い、その縁で贈られた「荘川七郎」。当初は輪島市役所に植えられていたが、石川県輪島漆芸美術館の開館にあわせて移植された


兼六園の蓮池門通りに植えられた「佐藤桜」

ソメイヨシノの60年寿命説を覆した百年桜


1907(明治40)年に赴任記念として桜を植樹した森丘正民先生(1911年撮影)

「桜といえばソメイヨシノ」と言えるぐらい、あちらこちらに植えられて人々から愛されているソメイヨシノですが、その寿命はヤマザクラやエドヒガンなどの野生種に比べて短く、日本人の平均寿命より短い60年と言われています。

にもかかわらず、黒部市三日市に「百年桜」と呼ばれるソメイヨシノがあります。この桜は三日市尋常高等小学校の新任教師だった森丘正民もりおかまさたみさんが100年以上前に、初任給で数本の桜の苗を購入、現在の黒部庁舎の位置にあった校舎敷地に植樹したものです。校舎は大正時代に移転し、この桜の木も移植され、いまもその一本が残っています。三日市小学校は2004(平成16)年にさらに移転、その敷地には2代目の「百年桜」が植えられています。

樹齢100年を超すソメイヨシノは全国的にいくつかありますが、この桜のように植えた記録が明確なものはまれです。自然の幾多の試練を乗り越えてきた百年桜の佇まいには厳かな風格が漂っています。


〔左〕旧三日市小学校木造校舎前庭の桜並木(1953年)。
〔右〕毎春、多くの人たちの思い出に応えるかのようにたくさんの花を開かせる「百年桜」。 幹周り2.65m、樹高約11m、枝張りは南北約16m、東西約11m。

Part-2 北陸ならではの春の花


球根を大きくさせるため花を摘む作業が欠かせない


〔左〕富山県のチューリップ栽培の今日を築いた水野豊造さん。〔右〕摘花作業も機械化されている

水野豊造ぶんぞうとチューリップ

富山県の県花チューリップの栽培が始まったのは1918(大正7)年のことです。庄下村(現・砺波市)の農家、水野豊造さんが試作したチューリップを切り花として販売したところ、日本でまだ珍しい草花だったことから高値で売れ、さらに球根にも高値がついたのです。

その後、本格的なチューリップ球根の栽培に取り組み始めた水野さんは、水田の裏作で球根栽培ができることを発見します。気温や日照時間、砺波平野の肥沃な土地、豊富で良質な水など、富山の自然が球根栽培に適していたのです。地域の農家に広く栽培を働きかけると水田裏作の有望な特産物として歓迎され、県下全域に波及していきました。昭和10年代には海外進出を果たし、チューリップの球根25,000球がアメ リカに輸出されています。

第2次世界大戦によって一時、栽培中止を余儀なくされるものの、戦後に復活。東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年には1,900万球以上を輸出し、「富山のチューリップ」は世界的に名を馳せます。水野さんが10球の球根から始めた富山県のチューリップ栽培は今日、栽培面積・球根出荷数ともに国内を代表する規模に成長しています。

金沢に春の到来を告げる兼六園の梅


梅を象った福梅は金沢で正月限定のお菓子

金沢には梅を象ったものが少なくありません。市の紋章や和菓子の「福梅ふくうめ」、足元を見ればマンホールのふたにも梅の模様があります。なぜ梅なのでしょうか。金沢と梅のかかわりは藩政時代にさかのぼります。「学問の神様」菅原道真の後裔であると称する加賀藩前田家は、道真がこよなく愛した梅を家紋として使っていたのです。


昭和43(1968)年、明治百年記念事業として全国の名梅を集めて造られた兼六園の梅林。ここの梅が咲くと、金沢市民は春の到来を実感する


梅雨時にはたわわに実った梅の実が見られる



前田利家を祀る尾山神社の神門(国の重要文化財)にも梅鉢紋がある

平安時代、大宰府に左遷させられ、都を去ることになった菅原道真は名残惜しい気持ちを込めて、「東風こち吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」と歌を詠みました。「私がいなくなっても春はやってくるのだから、春風が吹くころになったらちゃんと花を咲かせるのだぞ」と梅の木に語りかけたのです。この梅が主人を追って太宰府まで飛んでいったというのが「飛び梅伝説」です。

明治百年記念事業として兼六園の梅林は、北野天満宮、大宰府、湯島天神、水戸偕楽園などの協力により、全国の名梅を集められて造られました。白加賀しらかが摩耶紅梅まやこうばいなど約20種類、200本の梅が紅白の花を咲かせると、金沢に心躍る春の到来です。収穫された梅の実は県内の福祉施設などに贈られ、梅干しなどにして舌でも楽しまれています。

人と自然にやさしい花のある風景


レンゲを鋤きこんで緑肥にする。
人にも環境にも優しい米づくり

良質米の産地として知られる福井県永平寺町ではレンゲを活用した「レンゲ米」の栽培に取り組んでいます。

秋に田んぼを耕しレンゲの種をまき、冬の間に育て、翌年春、花を咲かせたレンゲを土にきこんで緑肥りょくひにするレンゲ農法は、かつては日本の至るところで行われてきましたが、その後、化学肥料の普及や手間のかかる農法であったことから急速に姿を消していきます。

しかし、レンゲが田んぼで冬の間、栽培されるのには理由がありました。レンゲは空中の窒素を根に貯め込む性質があり、春に栽培する稲の大切な養分となったのです。レンゲ農法で米を育てれば、化学肥料を少なくすることができます。人間にも環境にも優しい栽培法に注目した永平寺町では無化学肥料を目指し、あえて手間のかかるレンゲ農法でレンゲ米の栽培を始めたのでした。


レンゲ農法で作った稲の稲架がけ(天日干し)風景


昭和30年代ごろまでは春の里の風景としてよく見られたレンゲ畑。失われつつあるその風景が永平寺町では復活しつつある(撮影/吉澤康暢)

永平寺町では春になると、それまで殺風景だった田んぼが一面ピンク色と新鮮な緑に染まります(見ごろは4月下旬〜5月上旬)。昔ながらの春の風物詩がよみがえった永平寺町の風景からは、おいしいお米を作ろうとしている農家の人々の意気込みを感じることができます。


レンゲ農法のコシヒカリは福井の新しいブランドとして売り出し中

梅、桜、チューリップなど、北陸人がこよなく愛する「春の花回廊」には、このように、その発展に一生を賭け、情熱をそそぐ人間ドラマが隠されています。
その物語の端緒に触れれば、北陸の花見はいっそう感慨深いものになります。

※花の見ごろ時期は年によって大きく異なります。

「ゴールデンウィークに見ごろの花回廊」 -モデルコース例

  富山~金沢
2泊3日コース
金沢~福井
2泊3日コース
1日目 護国寺のシャクナゲ(富山県下新川群朝日町)
沢スギ自然館(下新川郡入善町)
富山県中央植物園(富山市)
富山市婦中町上轡田42/TEL:076-466-4187

〔富山市泊〕

白山麓大嵐山のミズバショウ(石川県白山市白峰)
※トレッキングです。山歩きのできるスタイルで。
兼六園のツツジ(石川県金沢市)

〔金沢市泊〕

2日目 砺波チューリップ公園(砺波市)
チューリップ四季彩館
砺波市中村100番地1/TEL:0763-33-7716

〔金沢市泊〕

西山公園のツツジ(福井県鯖江市)
紫式部公園のフジ(越前市)
結の故郷のシバザクラ(大野市)

〔大野市泊〕

3日目 兼六園のツツジ(石川県金沢市)
金沢市内観光
永平寺町レンゲ畑(吉田郡永平寺町)
永平寺など観光

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