北陸物語

サイトメニュー

閉じる

メニュー

English

  • HOME
  • 美心
  • スクリーンツーリズム~現実とスクリーンの狭間を体験~

スクリーンツーリズム ~現実とスクリーンの狭間を体験~

物語トップ福井県石川県富山県


『RAILWAYS 愛を伝えられない大人た ちへ』のロケに使われた富山地方鉄道。 立山連峰の風景が印象的に描かれる

スクリーンツーリズム~現実とスクリーンの狭間を体験~

古くから映画やドラマといった映像作品の舞台になってきた北陸。作品を通じてその魅力を感じ、この地を訪れる人がいます。北陸のどんな部分が映像作品に生き、そしてPRへとつながっているのか。映像を通して表現される北陸の魅力を探りました。

映画から起こった「能登ブーム」


ヤセの断崖

映画の舞台として、中高年に最もよく知られているのは松本清張原作の映画『ゼロの焦点』(1961年)に登場する、石川県志賀町の「ヤセの断崖」をはじめとした奇岩群・能登金剛でしょう。映画のクライマックスシーンに使われたことでその知名度が上がり、「能登ブーム」と称されるほど全国から多くの人が集まりました。交通の便もあまりよくない当時は宿泊施設も少なく、民宿の廊下に泊まった人もいたそうで、現在でも能登を代表する観光スポットとして人気です。


黒部ダム建設のさまを描いた『黒部の太陽』は2012年、44年ぶりに再上映が計画されている

また、石原裕次郎と三船敏郎が主演を務めた『黒部の太陽』(1968年)は、当時の邦画史上最高となる観客動員数約730万人を記録。黒部ダム建設の苦闘を描いたこの映画は、当時文部省の推薦映画に選ばれ、校外授業で見たという人も少なくありません。黒部ダムも毎年多くの人が足を運んでいます。

このほかにも、ドラマ『ちりとてちん』(2007年、福井県・NHK)、映画『武士の家計簿』(2010年、石川県)、『ゼロの焦点』(リメイク・2009年、石川県)、『劒岳つるぎだけ点の記』(2009年、富山県)、『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(2011年、富山県)などが挙げられます。

「プライド感」のある城端の街を舞台に

近年、アニメファンの間で「聖地巡礼」と呼ばれるロケ地巡りが人気です。富山県南砺なんと市と石川県金沢市はアニメの舞台となったことで知名度が急上昇。カメラを携えた多くの若者が集っています。

これらの作品を手がけたのは、富山県南砺市城端じょうはな に本社をおくアニメ制作会社「ピーエーワークス」。2000年の設立以来、数々の作品を手がけており、2008年城端を舞台とした青春劇『true tears』を発表しました。ピーエーワークスの専務取締役・菊池宣広さんは「城端が舞台となったのは偶然」と話します。

「ご当地アニメをつくる気はまったくなく、あくまで作品ありき、ストーリーありきと考えており、別の場所を検討していました。しかし、県外出身の西村純二監督が当社を訪れた際、『この街にはプライド感がある。文化が残っている。ここを舞台にしたい』とおっしゃり決まったんです」(菊池専務)

城端の"隠れた魅力"が、制作者の心をとらえたのです。


城端のシンボル的存在の善徳寺


ピーエーワークスが入居する建物 の屋上から見た城端の街並み

魅力があるからこそリピーターとなる

『true tears』の放送中から城端を訪れる若者が増え、「放送から約3年が経った現在でもほぼ毎日城端駅を訪れる」(城端観光案内所談)といいます。きっかけは偶然だったとはいえ、それを観光誘致のチャンスへと変貌させたその背景を、菊池さんは「地域力」と表現します。

「城端はもともと魅力ある地。そのPR が若年層にできていなかったのでしょう。舞台訪問で城端に来る若者は、その多くが二度三度と訪れています。作品世界に描かれた美しい風景がそのまま残っているうえ、地元の飾らない人たちとのふれあいも楽しめる。これはもともとこの地域が持っていた力です。作品中に登場する祭りのモデルとなった城端曳山ひきやま祭と城端むぎや祭には、放送後から県外の若者も多く訪れるようになりました。最初はアニメがきっかけでも、城端という街に魅力を感じてもらえたから、リピーターとなったのではないでしょうか」(菊池専務)


アニメの祭りのモデルにもなった城端むぎや祭


アニメのキャラが登場する城端のPRポスター(右)と城端むぎや祭のポスター(左)

湯涌温泉を舞台に、アニメのお祭りを実現

2010年にピーエーワークスは『花咲くいろは』を発表します。舞台は、「金沢の奥座敷」と言われる石川県の湯涌ゆわく温泉をモデルにした湯乃鷺ゆのさぎ温泉。もともと温泉街で繰り広げられる物語を検討しており、温泉地が多い石川県内をめぐって決めたそうです。

「湯涌温泉は、観光地にありがちな手垢がついた感じがなく、こぢんまりとしている。家族経営の旅館が多く、もてなしの心もある。まさに求めていた条件がそろっていました」と菊池専務は話します。

この作品のクライマックスに「ぼんぼり祭り」というお祭りが登場します。これは架空のものですが、まちおこしの一環として湯涌温泉観光協会から実現化の申し出があり、意気投合。しかし、モデルとなる祭りもないため、企画は手さぐり状態でした。

「『ぼんぼり祭り』は、劇中で伝統ある行事として語られています。1 回限りのイベントでは、まちおこしにならない。ずっと継続するよう、アニメファンだけでなく、一般の方にとってもお祭りになるよう腐心しました。この町の人たちだけで運営できる規模にするため、過度に盛り上げないようにしたのですが、当日は私たちの想定を大幅に超える5,000人の方が訪れてくださいました。湯涌温泉観光協会の会長さんが『私が知る限りで湯涌最大の人出』とおっしゃるほどでした」(菊池専務)


アニメ内の架空の祭りを現実に行った、
湯涌温泉の「ぼんぼり祭り」


ぼんぼりの明かりで彩られた湯涌温泉街


ぼんぼり祭りで行われた行列

何気ない風景も見どころに変える

ぼんぼり祭りは2012年も開催する予定で、「その後も、できる限り続ける」(湯涌温泉観光協会談)ことで湯涌温泉の行事として定着させようとしています。東日本大震災の影響などで多くの温泉地が客足を減らす中、「湯涌温泉は前年比2~3割増え、アニメ放映が終了してからも訪れてくれるファンは多い」(同協会談)。まさに創作物が人を動かし、地域振興に貢献した好例といえるでしょう。 かといって湯涌温泉では、過度にアニメのPR をすることはありません。温泉街の店舗がポスターを貼る程度。これは城端も同じ。街角に何かおいたりせず、「アニメの聖地」としてのPR を必要最低限にとどめています。

アニメファンは、キャラクターが過ごし、各シーンに登場する街を眺めるためにやってきます。そして『花咲くいろは』も『true tears』も、作品の随所に街の雰囲気を伝える各シーンが登場します。何気ない風景を「聖地」にする、それこそが映像作品の力といえるでしょう。

北陸の空気感は魅力的に映る

菊池専務は「今後の作品が、北陸を舞台にするかどうかなんともいえない」としながらも、「北陸には知られていない魅力がまだまだあります。城端にしろ湯涌温泉にしろ、私たちはPR の"きっかけ"をつくっただけです」と話します。 ピーエーワークスの作品は、アニメながらも、曇りがちな空の色、水分を含んだ重い雪なども再現するなど、現実の北陸の空気感を演出することを心がけています。地元の人がときには自虐的に話すこれらの北陸の特徴も、縁のない他地域の人には新鮮に映るようで、その「再現度」に高い評価が寄せられています。アニメ作品自体の魅力もさることながら、幾度となく足を運ばせる"隠れた魅力"が、北陸にはあるといえます。


記念撮影スポットになっている湯涌温泉の案内板(右)。左奥に見える旅館は、アニメに登場する旅館のモデルになった


城端駅内の城端観光案内所に展示してある『true tears』のグッズ

「あまりにもなにもない。だから、面白い」

「お父さん犬」で人気の、ソフトバンクのCM。CM の演出を手がけるのはクリエイティブディレクターの佐々木宏氏。福井市の依頼で一乗谷遺跡の観光ポスター制作のため何度も遺跡を訪れていた佐々木氏は、当時CM でPR するサービス「ホワイト学割」のイメージと、一乗谷の雪景色がマッチしたことからこの地を選んだといいます。冬、お父さん犬が雪深い一乗谷に住む母に会いに行く場面は2 年前に放送されましたが、印象的なシーンとして覚えている方も多いのではないでしょうか。


CMに登場した一乗谷


一乗谷朝倉氏遺跡で撮影されたシーン


雪景色が印象的に描かれた


福井鉄道福武線の「北府(きたご)駅」でロケが行われた


白戸家の皆が一乗谷に勢ぞろい(写真提供:ソフトバンクモバイル)

のちのシリーズに、夏の一乗谷も登場します。
お父さん犬のふるさとに"白戸家"一家が帰省。いつものように、こっけいなやり取りが繰り広げられますが、山林や田畑に囲まれた風景は懐かしさを誘います。田舎のおばあちゃんちの縁側で涼む家族のやりとりでは、家族の絆が浮かび上がってきます。

お父さん犬の"実家"のロケは、一乗谷にある築140年の古民家で、お蕎麦屋の「利休庵」で行われました。その歴史ある建物は、CM の懐かしい雰囲気をいっそうもり立ててくれます。 佐々木氏が携わる一乗谷のポスター「一乗谷 DISCOVERYPROJECT」に、こんなキャッチコピーがあります。

「京都にはない。金沢にもない。あまりにもなにもない。だから、面白い」

知名度は劣るものの過度に観光地化しておらず、隠れた魅力があるからこそ、さまざまな作品の舞台に活用されるのかもしれません。CM 放送後、一乗谷の観光客は大幅に増加し、昨年は前年に比べ3割増え、夏場は倍近くになりました。

ロケ誘致を行う福井フィルムコミッションの木下靖裕氏は、「福井には歴史ある街並みも、田舎の原風景も、越前海岸のような雄大な自然もある。さまざまな映像作品を通して、まだまだ全国的にアピールできていない魅力を発信していきたいです」と話します。

北陸ではあたりまえだと思われている、かつての日本を感じさせる歴史ある町並みや古い建物。里山や里海で行われている日常の何気ない作業風景やそのたたずまいは、気ぜわしい現代の生活に、こころやすまる"ひととき"を与えてくれているのかもしれません。


北陸/『死にゆく妻との旅路』 2011年2月公開

末期がんの妻を9カ月もワゴン車に乗せて日本各地をさまよった男の手記(実話)を映画化した作品。工場経営が傾き多額の借金を背負い、必死に職探しをする夫と末期がんの妻が、死を見つめながら続けた272日間、およそ6,000㎞に及ぶ旅路を塙幸成監督が描きます。絶望的な状況でありながら深く純粋な愛で結ばれた夫婦を、三浦友和と石田ゆり子が好演しています。


能登(志賀町)・巌門の夕日


富山・氷見漁港

映画のクライマックスで登場する福井・東尋坊

北陸を舞台にした話題作が続々と

富山県

『おおかみこどもの雨と雪』は、富山県上市町出身で、『時をかける少女』『サマーウォーズ』で日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した細田守監督が手がけます。上市町や立山町などの風景が描かれます。7月公開予定。また、西川美和監督『夢売るふたり』が氷見市で撮影されています。2012年秋公開予定。

石川県

『リトル・マエストラ』。東京出身の女子高生と漁村のアマチュアオーケストラの成長を描きます。石川県志賀町福浦(ふくら)港や金沢市でロケが行われ、2012年秋公開予定。アニメでは『花咲くいろは』の新作映像制作が2012年度に予定されています。

福井県

歌手のさだまさしさんの原作小説を映画化し、福井県美浜町を舞台にした『サクラサク』が2014年公開を目指して制作が進められています。

話題の映画・ドラマロケ地を巡るコース-モデルコース例[1]

(富山・石川・福井 2泊3日コース)

  日程
1日目 富山地方鉄道で巡る『 RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』ロケ地
[泊] 富山市内
2日目 金沢市・能登を巡る『 死にゆく妻との旅路』ロケ地
または
金沢市主計町茶屋街 『舞妓Haaaan!!!』ロケ地 および近隣スポット(ひがし茶屋街など)
[泊] 金沢市内
3日目 小浜市ドラマ『 ちりとてちん』ロケ地
または
福井市一乗谷朝倉氏遺跡 ソフトバンクモバイルCM ロケ地

金沢の奥座敷「湯涌温泉」・越中の小京都「城端」めぐりコース -モデルコース例[2]

(富山・石川 1泊2日コース)

富山/『true tears』 2008年放送

絵本作家を目指す高校生を主人公に繰り広げられる青春劇。舞台は富山県南砺市城端がモデルです。城端むぎや祭と城端曳山祭をモチーフとした「麦むぎ端は祭り」が劇中に登場します。冬の雪の降りしきる中、曳山が練り歩き、麦屋の菅笠で踊る幻想的なシーンとなっており、城端では作中に登場する麦端おどりを"再現"するイベントも行われました。

石川/『花咲くいろは』 2011年放送。2012年度新作制作予定

東京育ちの女子高校生が、祖母が経営する旅館に身を寄せて住み込みで働き、個性的な従業員たちと成長していく物語です。旅館がある石川県湯乃鷺温泉街は、「金沢の奥座敷」と言われる湯涌温泉がモデルとなっており、金沢市内各所やのと鉄道も登場します。

  日程
1日目


金沢湯涌江戸村

湯涌温泉散策
・氷室小屋 (1月:氷室の仕込み、6月末:氷室開き)
・薬師堂・源泉臼・竹久夢二歌碑
・湯涌朝市
・金沢湯涌江戸村
・総湯「白鷺の湯」
・「ぼんぼり祭り」(10月予定)
※のと鉄道西岸駅(湯乃鷺駅モデル)・能登鹿島駅(桜のトンネル)
[泊] 湯涌温泉
2日目


城端むぎや祭


じょうはな座

地元観光ガイドと巡る越中の小京都「城端」
・城端曳舟会館・土蔵群「蔵回廊」
・城端別院 善徳寺
・南砺市城端伝統芸能会館 「じょうはな座」
・城端曳山祭(5月4日・5日)
・城端むぎや祭(9月敬老の日の前の土日)

■湯涌温泉

開湯1300年。無色透明のなめらかな湯は大正初のドイツで開かれた万国鉱泉博覧会に日本の名泉として出展。
泉質の良さが認められました。兼六園から車で20分。山間に9軒の宿がたたずむ静かな湯の里です。

■地元観光ガイドと巡る越中の小京都「城端」(着地プログラム)

「機の声じょうはな」(ガイド1名につき2時間まで3,000円) ※予約は希望日の一週間前まで
「機の声じょうはな」事務局(城端観光案内所内)/TEL:0763-62-1821


物語トップ福井県石川県富山県